A:取っ手をつけるカップは、本体を楕円に歪めておきましょう。
白粘土の場合は歪みは気になるほどではありません。
でも、赤粘土の場合は熱に弱いために歪みが目立ちます。
取っ手に引っ張られるように、楕円形になります。
それを防ぐために、形作りのときに次の作業を行ってください。
取っ手をつける側と反対側を手で押さえて、楕円にしておきます。
削り作業が終わってから、径の短い側に取っ手を付けます。
焼きあがると、真円(に近い形)になります。
記事提供:津田沼陶芸教室
陶芸を始めたいと思っている人や、始めたばかりの人が 知りたいことをQ&Aで答えます。 自分が陶芸を始めたころに???と疑問を感じたことや、 会員のみなさんから質問されたことがもとになっています。
Q:ロクロに「かめ板」を密着させる方法を教えて! (質問箱109)
A:教える人によっていろいろな方法がありますが、
かんたんで、外れにくいやり方を紹介します。
1、粘土玉を3つ作って、ロクロの上に等間隔に並べます。
2、指で叩いて平らにします。
3、「弓」の両端をアルミの天板の上に付けたままスライドして、
粘土を薄くスライスします。
4、ハケかスポンジに含ませた水を粘土に塗ります(垂らす感じで)。
5、「かめ板(板)」をのせて、
ロクロをゆっくりまわしながらこぶしで叩いて密着させます。
6、濡らした筆で円を描いてみます。
(筆は動かさずに、ロクロを回して)
線に細いところと太いところができるようなら
板が傾いているので、太い部分をたたいて水平にします。
Q:手びねりでつくった皿を板にのせるとき歪みます。対策は? (質問箱108)
A:手ロクロの上に板をのせて、その上で作りましょう。
湯飲みやお茶碗は作ったあと、切り糸で切って板に移します。
でも、皿は移動させるとき口が歪みやすいですね。
そこで、最初から板の上で作りましょう。
1、粘土ヒモを作って、手ロクロの上に円を描くようにのせます。
2、手ロクロを回しながら手で叩いて平らにします。
3、板をのせて、手ロクロを回しながら板を叩いて粘土と密着させます。
Q:器の外側がなめらかな曲線になるよう削るコツを教えて! (質問箱107)
A:らせんを描くように削ることですね。
初心の内は、水平に削る会員が多いのですが、
慣れてくるとらせん状に削るようになります。
そして一度に深く削るのではなくて、
浅い削りで手数を多くして形を整えてゆきます。
らせん状に削る。浅くて、手数を多くして削る。
これがなめらかな曲線をつくるコツです。
写真は、逆さにして削った後、
ひっくり返して上部の削りをしているところ。
(写真協力は会員のOさん)
電動ロクロの場合も、「らせん状」を心がけると
曲線が美しくなりますよ。
Q:体験レッスンで作った作品は、何日後に受け取れますか? (質問箱106)
A:形を作ってから一か月半後、
釉薬を掛けてから2~3週間後をメドにしてください。
形を作った翌週に「削り作業」。粘土が完全乾燥してから「素焼き」。
素焼きした作品に「釉薬掛け」して「本焼き」という工程になります。
素焼きと本焼きは、窯がスカスカの状態で焼くのはもったいないので
あるていど数がそろってからになります。
そのため作品をお渡しできるのは、上に書いた日数をメドにしてください。
焼き上がりの日にちが決まったらメールで連絡します。
Q:粘土で作った作品を教室に送ったら、焼いてもらえますか? (質問箱105)
A:こちらに届いたときには、残念ですが、おそらく壊れています。
粘土は乾燥したときがいちばんもろいのです。
大切にくるんで送っても、途中で割れてしまうでしょう。
ご自宅で作った作品なら、プチプチのエア・クッションで包んで
クルマで教室に運び込む・・・くらいが限度でしょうね。
そうやって持ち込む会員は津田沼陶芸教室にもいますよ。
Q:「土殺し(つちごろし)」と「芯出し(しんだし)」の違いは? (質問箱104)
A:ロクロを挽く前の粘土の準備運動のことで、同じ意味ですよ。
粘土を高く挽きあげて、
ふたたび元に戻す。
これを数回繰り返します。
粘土に均一に水分を含ませて扱いやすくするための作業です。
あばれる土をおとなしくする、という意味の「土殺し」。
物騒な言い方ですが、「女殺し」なんていうのと同じ言い回しでしょうね。
「芯出し」は、言い得て妙です。回転のブレを取る作業ですから。
ところで・・・。
「芯出し」を「チン出し」だと思い込んでいた女性会員がいて大笑いでした。
別の教室で教わったとき、妙に納得して聞き直さなかったそうです。
「えー!!シンダシだったんですかぁ!」
と声を上げたのが忘れられません。
Q:固すぎる粘土を適当な固さにする方法は? (質問箱103)
A:固さの状態によります。3つの方法を教えましょう。
1、ちょっと固いかな、というとき
粘土を平らに伸ばして、薄いヘラで切れ込みをたくさん入れます。
水を含ませたスポンジで湿らせます。
(毛細管現象で、切れ込みの奥まで水分が届きます)
粘土を裏返して、同じ作業をします。
それを荒練りして、菊練りすれば、できあがり!
2、ゴツゴツした感じまで固くなったら
ワイヤーで粘土をスライスします(厚さ1センチくらい)。
水を入れたボウルに5分ほど浸します。
まだ固ければ、もっと長く置きます。
粘土を水から出して練ります。
3、形が変わらないほど固くなったら
完全乾燥させて、ハンマーでなるべく小さく砕いて
水を入れたボウルに入れます。
半日置いて、水を捨てて、石膏ボードの上で練ります。
(水を捨てたあと、削りで出た乾燥粘土をバラバラと載せると
水分を吸い取ってくれて作業がラク)
Q:ネイルアートをしていますが、陶芸できますか? (質問箱102)
A:極端な長爪でなければ問題ないでしょう。
ただし電動ロクロは危険です。
ある日、会員(手びねりコース)の女性がキレイな爪で現れて、
ちょっと心配したのですが、
「粘土に触るくらいで取れたりしませんよ」と笑っていました。
じっさい、剥がれたりしませんでした。
やや長爪だったので、手びねりの作業で爪跡が付きましたが
削り作業のときに、よく絞った水スポンジで拭けば跡は消えました。
※そのケースでは大丈夫だったということで、
ネイルアートして陶芸するのを勧めているわけではありません。
ご自分の判断でお願いしますね。
ただし電動ロクロを使うのは、私の教室では禁止しています。
爪が粘土に刺さって、ケガをすることも考えられますから。
Q:粘土に触ると手荒れしませんか? (質問箱101)
A:粘土のことを「土」と呼んだりしますが、粘土の中には細菌が少ないので
じかに触ってもガーデニングのような手荒れの心配はありません。
水を使うことが多いので、カサッとした感じにはなりますが、
作業のあとハンドクリームを使えばケアできます。
泥んこ美容もあるくらいだし、私の知っている女性の陶芸家も、
みなさんきれいな手をしていますよ。
Q:板皿の底が反らないようにする方法は? (質問箱100)
A:3つの方法を紹介しましょう。
板皿の反りはやっかいです。
反りの原因は、粘土が均一に乾いてくれないことから起きます。
表側が早く乾いて裏側が遅れるために、縁が持ち上がる。。
フチから乾いて縮むために、中心が圧迫されて凸になりやすい。
さて、反りを防ぐ方法
1、固めの粘土をつかいましょう。
粘土に水分が多いと、表と裏の乾燥の差が大きくなって
歪みやすいから。
2、裏に溝を数本彫ってやる(長い辺に平行に)。
裏側の乾きが早くなって、表側との乾きの差が少なくなる。
3、足を付けると歪みにくい。
裏側の乾燥が早くなるため。
ほかにもアイデアとしては、
干物をつくるネットに入れて乾燥させるのも良さそうです。
Q:板皿の底が反ってしまいました。なんとかなりますか? (質問箱99)
A:白くなるまで乾燥していなければ、まだ手はあるかも。
白くなっていなければ、手のひらを皿にぴったり付けて、
親指の付け根あたりを力を込めて、グッと押します。
「グッ!」と、0.2秒ほど押し付けます。
これで反りが直ることが多いです。
(白くなった板皿でこれをやると割れます)
私はこれで割ったことはありませんが、ちょっと不安なので、
教室の会員には自分の責任で
Q:津田沼陶芸教室には釉薬が何種類くらいありますか? (質問箱98)
A:53種類あります(2013年5月現在)。
より良い調合の釉薬を使いたいので、廃版にする釉薬もありますし、
新しく追加するものもあります。
Q:自分の作品を使っているいるうちに薄汚れてきました。対策は? (質問箱97)
A:市販のキッチン用漂白剤に浸けてもダメなら、
素焼きするという奥の手もありますよ。
貫入(かんにゅう/釉薬の細かなヒビ)に入った汚れを落とすには
キッチン用の漂白剤をまず試してください。
それでもダメなら、素焼きするときに一緒に窯に入れて
800℃くらいで焼きます。
有機物はすべて燃えるので、「新品」のようになります。
※ただし、織部(おりべ)釉の場合は、色調が変わってしまうので
ご注意を!
※陶器が古びてくるのを「育つ」と言って楽しむ心が日本にはあります。
「キレイ」にしないで、作品が育つのを楽しむのも素敵ですよ。
Q:焼きあがった作品の表面に小さなヒビが入っています。大丈夫? (質問箱96)
A:釉薬に入った小さなヒビを「貫入(かんにゅう)」と言います。
割れたりしませんから大丈夫です。
溶けた釉薬は冷えて固まるときに縮みます。
胎土(たいど/粘土の素地))も縮みます。
収縮率がほぼ同じならヒビはできません。
釉薬の収縮率のほうが大きいと、釉薬に貫入が入ります。
焼きあがって窯のフタを開けるとき、貫入の入るピンピンという
涼やかな音が聞こえてきます。
Q:削り作業が大好きです。あまり長時間やるのは良くないですか? (質問箱95)
A:常識的には、乾燥して白くなってしまう前に終えましょう。
いつまでも手の中で無心にもてあそんでいたい持ちは分かります。
でも、白くなったあとも削っていると、割れたりヒビが入ることが多いです。
完全乾燥したときが、粘土はいちばんもろいのです。
形を作るときに、できあがりに近い厚さでできていれば
削りにさほどの時間はかかりません。
私(林)などは、ロクロでも、手びねりでも、
さささっと削ってしまいます。
でも削りがそれほど好きなら・・・存分にやってください。
記事提供:津田沼陶芸教室Q:形を作ってから何日後に削り作業ができますか? (質問箱94)
A:陶芸教室では一週間後が一般的です。
室内に置いておけば、小物なら半日~1日で削れるようになります。
教室では会員の皆さんの都合を考えて、一週間後に削り作業ができるよう
乾燥をコントロールしています。
作品をビニールでくるんで、湿気がたっぷりある室(むろ)に入れて
管理しています。
ご自分で乾燥させるとき(ビニールでくるまない場合)は
変形しないよう、直射日光や風の当たらない場所に置きます。